涅槃会の読み方とその意味
涅槃会は「ねはんえ」と読み、お釈迦様が入滅した(お亡くなりになった)2月15日に、法(仏教の教え)を説くためや供養するために集まることです。
仏教の行事の中で、涅槃会は宗派を問わず営まれる格別の意義を持ちます。
この行事は、お釈迦様の遺志とその悟りへの道を祝福し、教えの核心を明らかにします。
ここでは、涅槃会の深い意味、その開催時期、そして伝統的な団子の背後にあるお釈迦様の想いを詳しく解説していきます。
涅槃会の意義
涅槃会は仏教の三大行事の一つとされ、お釈迦様がこの世を去り、全ての煩悩から解放されて最終的な平和の状態である「涅槃」に至ったことを記念します。
「涅槃」とは、サンスクリット語で「ニルヴァーナ」とも呼ばれ、「消灯」を意味し、心の苦しみや迷いが消え去り、完全なる平穏が実現された状態を指します。
お釈迦様の足跡と涅槃
仏教の開祖・お釈迦様(本名:ガウタマ・シッダールタ、パーリ語ではゴータマ・シッダッタ)は、紀元前のインドに生まれました。
29歳で出家して苦行に身を投じ、最終的には悟りを開いてその教えを広めました。
80歳でこの世を去った彼の死は、その教えと悟りを改めて振り返り、敬う機会となりました。
そのため、涅槃会はお釈迦様の死を追悼し、彼の残した教えの価値を仏教徒にとって特別なものにします。
涅槃会の開催時期
涅槃会は伝統的に旧暦の2月15日に祝われますが、新暦との日付の違いを考慮し、実際の開催日は年によって異なることがあります。
一般的には2月15日や、1ヶ月後の3月15日に行われることが多いです。2024年では、涅槃会は2月15日(木)または3月15日(金)とされています。
団子を配る伝統
涅槃会では、伝統的に「涅槃団子」や「お釈迦様団子」と称される団子が配られます。
これらの団子は、お釈迦様の遺骨、仏舎利を模したもので、彼の弟子たちが争いなく平等に分け合ったという伝説にちなんでいます。
この行為により、お釈迦様を悼み、彼の教えの平等性を象徴しています。
団子の色の意義
特に北陸地方では、団子にさまざまな色をつける(緑、黒、赤、白、黃の5種類)習慣があり、各色には独特の意味があります。
これらの色は仏教の宇宙観を反映し、空、風、火、水、地の五大要素を象徴しています。
お釈迦様の遺骨が放った伝説の五色に基づいており、宇宙の調和とお釈迦様の普遍的な教えを表しています。
涅槃図について
涅槃会には、お釈迦様が涅槃に至る瞬間を描いた「涅槃図」が展示されることがあります。
この図画には、お釈迦様の周囲に集まった弟子や動物たちが描かれており、彼への深い敬愛と仏教の慈愛の精神を象徴しています。
涅槃図を通じて、訪れる人々はお釈迦様の最期の時とその教えの深遠な意味を再認識する機会を得ます。
お釈迦様の教え「自灯明・法灯明」とは
弟子のアーナンダがお釈迦様の亡くなることを感じ取り、深い悲しみのなかでお釈迦様に最後の教えを求めたとき、お釈迦様は集まった人たちに最終の教えを伝えました。
お釈迦様がいなくなった後の生き方について不安を抱えるアーナンダに対し、お釈迦様は自分を信じ、他人ではなく、自分自身と教えを頼りに生きることを勧めました。
これは、自分自身とお釈迦様が説いた法を生活の指針として採り入れることの重要性を示しています。
この考え方は「自灯明・法灯明」として知られ、仏教徒にとって重要な教えとして長い間引き継がれています。
お釈迦様が亡くなってから二千五百年以上が経過した現在でも、お釈迦様のこの教えは僧侶や信者の日常生活の中で生き続けています。
毎年2月15日に行われる涅槃会では、多くの人々がこの教えを改めて心に刻み、実践しようとします。
オシャカ(お釈迦)になるという言葉の由来
余談ではありますが、壊れてしまったり、使い物にならなくなってしまうことをオシャカ(お釈迦)になると言いますが、江戸時代に遡るこの言い回しは、金属加工をする職人が誤って火力を強くしすぎてしまったというミスを巧みに言い換えたものです。
まとめ
話が逸れてしまいましたが、涅槃会は、仏教の深い教えと、お釈迦様の生涯を反映する特別な行事です。
この日は仏教徒にとって、お釈迦様の教えを思い返し、その普遍的な価値と悟りへの道を再確認する大切な機会を提供します。
団子の配布やその色彩、涅槃図の展示を通して、涅槃会はお釈迦様の願いである平和への道と仏教の教えを現代に伝えています。