今回は、日本独特の表現である「如月」について、その意味や由来、活用法等を深掘りしていきます。
「如月」は、古くから伝わる表現のひとつで、この記事ではその基本情報から、季節を象徴する言葉としての使われ方等を詳しくご紹介します。
如月の読み方は?「如月」とは?
和風月名の「如月」は、かつての日本で使われていた旧暦の2月を指す言葉であり、「きさらぎ」と読みます。
旧暦は、明治時代に太陽暦に切り替わるまでの約1200年間、使われ続けました。
この旧暦は、月の満ち欠けに基づく太陰暦で、その中で2月に相当するのが「如月」です。
旧暦と現在主流の太陽暦との間には、約1ヶ月の時差があるとされています。
太陰暦と太陽暦の違い
太陽暦は、地球が太陽を一周する365日を基にしています。
一方、太陰暦は、月の満ち欠けを基にした354日周期の年を使います。この11日間の差が、旧暦と新暦の違いを生んでいます。
如月の由来
如月の由来は諸説ありますが、最も有力なのは「衣更着(きさらぎ)」が転じた説です。
衣更着説
寒い冬に重ね着をすることから、暦の上では春だけど、まだまだ寒く衣を更に重ねるという意味。
着更着、絹更着とも表記されることから転じたという説です。
その他の説
陽気が更に来る月だから「気更来(きさらぎ)」になった説。
春に向けて草木が生えはじめるから「生更木(きさらぎ)」になった説。
なお、「如月」という漢字は、中国の2月の異名「如月(じょげつ)」が由来で「きさらぎ」は日本独自の読み方です。
中国の如月(じょげつ)は、寒い冬が終わり、春に向かって万物が動き始める時期という意味で、ほぼ日本と同じです。
如月2月の別名・異称:冬から春への希望に満ちた響き
2月は「如月」以外にも、様々な別名・異称があります。それぞれに込められた意味を知ることで、2月の奥深い魅力を再発見できるでしょう。
1. 令月(れいげつ): 物事がうまくいく、めでたい月を表す言葉です。万葉集にも詠まれ、現在の元号である「令和」の由来にもなりました。
2. 仲春(ちゅうしゅん): 初春と晩春の中間に位置する季節を表し、「三春」の一つとして親しまれています。2月はまさに春の訪れを感じる時期です。
3. 恵風(けいふう): 春の暖かく優しい風を意味し、自然に恵みをもたらすイメージがあります。
4. 梅見月(うめみづき): 梅の花が咲き誇る季節を表し、旧暦では2月は梅の開花時期と重なっていました。
5. その他: 雪消月、木芽月、初花月、建卯月など、2月の自然や風物詩を表す美しい別名・異称もたくさんあります。
これらの言葉から、冬から春への季節の移ろい、そして新しい生命の息吹を感じることができます。如月はまさに希望に満ちた月と言えるでしょう。
心機一転、新しい一歩を踏み出す季節でもあります。
和風月名一覧
睦月(むつき)……1月の旧暦・和風月名
如月(きさらぎ)……2月の旧暦・和風月名
弥生(やよい)……3月の旧暦・和風月名
卯月(うづき)……4月の旧暦・和風月名
皐月(さつき)……5月の旧暦・和風月名
水無月(みなづき)……6月の旧暦・和風月名
文月(ふみづき/ふづき)……7月の旧暦・和風月名
葉月(はづき)……8月の旧暦・和風月名
長月(ながつき)……9月の旧暦・和風月名
神無月(かんなづき/かみなしづき)……10月の旧暦・和風月名
霜月(しもつき)……11月の旧暦・和風月名
師走(しわす)……12月の旧暦・和風月名
「如月」の季語としての使い方
先述したように如月は旧暦の2月のことであり、現在では2月下旬頃から4月上旬頃のことであり、俳句において、「如月」は春の季語として位置づけられています。
特に、春の初旬から中旬にかけての「仲春」に該当する季節に使用されます。
この時期は、春らしい情景を表現する季語が豊富で、俳句を詠む醍醐味を一層深めてくれます。
人名としての如月さん
アニメ等の登場人物として多い印象の如月性ですが、実際は関東を中心に全国で数十名の希少性のようです(発祥は武蔵国)。
また日本海軍の2番艦の駆逐艦も「如月」と命名されていますね(人名ではありませんが)。
まとめ
如月は俳句だけでなく、手紙やビジネス文書の季節の挨拶にも使用される季語でもあります。
「如月」を含むこれらの言葉は、日本の四季を象徴し、ただ眺めているだけでも楽しむことができます。
季語を通じて季節の移り変わりを感じ取りながら、日本の自然の美しさを再発見してみてはいかがでしょうか。