日本には四季があり、さらに細かく二十四に彩られた風情があります。所謂、二十四節気という季節の移り変わりの目安となるものです。
その中で今回は、二十四節気の5番目に当たる「清明」をテーマにしてみました。
清明の読み方は?
清明は何のひねりもなく、至ってシンプルにそのまま「せいめい」と読みます。
すべてが清々しく明るく美しい頃と捉えられています。
清明の意味とは
「清明」とは、春の訪れとそれに伴う美しい自然の様子を表した「清浄明潔(しょうじょうめいけつ)」という言葉を省略し、短くしたものです。
江戸時代に作られた暦によると、自然界が豊かに生い茂り、清らかで美しいことから、新しく生まれた芽がどの植物のものかが分かるとされています。
この言葉は、花の蕾がふくらみ開花するまでの過程や、名実ともに春になって暖かくなっていく様子を表しています。
春風が心地よく吹き、植物が生き生きとして美しい姿を見せるこの時期は、自然の新たな生命力と美しさが感じられるものです。
出会いの季節でもあり、個人的には1年の中で、1番好きな季節でもあり、日本人で良かったと実感する時期でもあります。
春の息吹を運ぶ「清明風」とは?
春が近づく兆しを感じる清明の季節には、南東から吹くやわらかな風、いわゆる「清明風」が訪れます。
この風が吹くということは、寒い冬が終わりを告げ、暖かい春が始まったサインでもあります。
晴れた日にはこの風が温かさと心地よい爽やかな湿度をもたらし、外に出て自然を満喫するのにぴったりの条件を作り出します。
緑豊かな木々やカラフルな花々を眺めながらの散歩は、この季節特有の楽しみ方の一つです。
また、この時季に降る雨は、特別な雰囲気を持っており、「発火雨(はっかう)」や「桃花の雨(とうかのあめ)」などと呼ばれることもあります。
これらの名前は、桃の花に降る雨が遠くから見ると火が燃えているように見えることから来ています(風情がありますね)。
雨の日であっても、雨に濡れてさらに鮮やかになった新緑は、心を癒やし、心から春の訪れを実感させてくれます。
月形半平太の有名な「春雨じゃ濡れて行こう(参ろう)」はこの季節の霧雨じゃないかと個人的には想像しています。
2024年の清明はいつ?
二十四節気の一つ清明は、年によって若干異なります。
4月5日の年が多いですが、2024年今年の清明は4月4日(木)になります。
ちなみに清明はこの日のみを指すこともあれば、この日から次の二十四節気の6番目であるである穀雨(こくう・毎年4月20日ごろ)の前日までの期間を指す場合もあります。
二十四節気の元祖中国の清明節と日本の清明
「清明」という言葉は、日本ではあまり聞き慣れないかもしれませんが、中国や台湾、香港など旧暦を使っている地域では、とても重要な日として知られています。
この期間は「清明節」と呼ばれ、春分の日から15日後にあたる休日です。
この時期には、法律で定められた3日間の休みがあり(春節の次の連休)、多くの人がこの機会を利用して先祖のお墓参りをしたり、お墓の掃除や草取りをします。
この習慣は「掃墓節」とも呼ばれ、日本でいう「お盆」と似たような年中行事です。
また、春の温かくて心地よい気候を楽しむ絶好の機会として、自然の中を歩く「踏青節」とも呼ばれることもあります。
この時期、人々は花見をしたり、スポーツで体を動かして冬の間に溜まったストレスを癒します。
ちなみに「踏青」とは、春を感じながら自然を歩くことを意味しています。
さらに、清明節の直前、場所によっては2日前には「寒食節(一切火を使わず冷たいご飯を食べる風習)」という日があります。
この日には、火を使わない食事をする習慣があり、この伝統は中国の春秋時代の忠義に厚い介子推の悲しい話に基づいています。
主君の命に従って焼死した彼の死を悼んで、火の使用を避けるのです。
清明の沖縄の伝統行事
沖縄では「清明祭(シーミー)」という大切な伝統行事があります。
この日は、家族が一堂に会し、先祖の墓を訪れて敬意を表します。
沖縄県民はお酒やお茶、花、お重で作られた料理を墓前に供え、その後、これらの食べ物をみんなで楽しみます。
この祭りのために、お墓の周辺には広々としたスペースが確保されており、家族が集まり食事を共にする場となっています。
清明の頃になると、沖縄はこの伝統によって、それぞれの家族のお墓の周りは、ピクニックのような雰囲気で活気づきます。
まとめ
暑さ寒さも彼岸までという言葉がありますが、清明の頃には桜も咲き草花も芽吹き春爛漫という感じになってきます。
この時期日本では入学式が行われ、新年度の始まりということもあり、1年の始まりという雰囲気が漂っています。
コロナ騒動も一段落したことですし、今年の清明の時期には、お花見やピクニックで大いに盛り上がりませんか?
そして冬を乗り越えて訪れた清明を皆で満喫しましょう。